事業内容
事業内容
油田と言えば、焼却塔-フレアスタックで燃える炎がシンボルとして定着していますが、これは原油に随伴して生産されるガスや原油処理の過程で発生するガスを焼却処理(フレアリング)しているものです。ガスの中には天然ガスの他に、有毒な硫化水素や二酸化炭素が含まれていることも多く-このようなガスをサワーガスと呼んでいます-ガスをフレアリングすることにより、天然ガス資源を浪費するばかりでなく、環境に悪影響を与える亜硫酸ガスや地球温暖化をもたらす二酸化炭素を大量に大気放散することになります。
当社はいち早く環境保護と資源保全の重要性を認識し、生産されるサワーガスを回収して地下の油層に圧入する「サワーガス圧入プロジェクト」を立ち上げました。油層に圧入されたガスは、原油の回収率増大を図ることができ、環境保護、資源保全、原油回収率増大を同時に実現できる画期的な手法です。この結果、ウム・アル・アンバー油田およびニーワット・アル・ギャラン油田の原油から発生するサワーガスのフレアリングを最小限に留めています。
当社は環境保護をさらに推進するために、「サワーガス圧入」につづき「ゼロフレアリングプロジェクト」に着手しました。それまで、ムバラス油田では坑井から生産された原油に随伴するガスをフレアリングしており、またムバラス島では出荷処理過程で発生するガスをフレアリングしていましたが、ゼロフレアリングプロジェクトでは、これらのガスを回収し、ARサイトターミナルに送ガスすることによってガスフレアリングを最小限に抑制するものです。
本プロジェクトの結果、ムバラス油田ではゼロガスフレアリングを達成し、ムバラス島でのガスフレアリングは最小限となりました。
当社ではさらにフレアリング量を削減するためにムバラス島でのタンクガス回収プロセス設置など対策を講じ、保守時やトラブル時のフレアリングを回避するために脱硫・脱CO2装置の増設などガス処理プロセスの最適化をガス処理プロセスの最適化を実施しました。
また、2017年11月からのヘイル油田生産開始に合わせ、ムバラス島からARサイトターミナルまでのガス用パイプラインを新たに敷設しました。これにより余剰随伴ガスの処理及び圧入が可能となり、現在もゼロガスフレアリングの操業を継続しています。
油田から原油生産に伴って生産される地層水や原油処理プロセスから排出されるプロセス処理水は排水として安全に処理しなければなりません。これら排水は塩分濃度が高く、微量の油分や有害元素なども含まれ、環境への影響があることから海洋への投棄には問題がありました。この問題を解決するために「排水処理プロジェクト」を実施し、地層水やプロセス処理水は油分除去後、水圧入井から地下深部へ圧入することで、環境へ排水を出さないゼロ放流を実現しました。
また、各油田内の全てのプラットフォームでは原油・地層水の回収設備を設置し、坑井試料サンプリング時や設備検査時などに出るわずかな原油・地層水についても、海上へ逸失しないよう防止策を講じています。
ムバラス島では、造水装置により海水から清水を造り、従業員居住施設や原油処理施設に供給しています。熱暑の孤島では、清水は人間のみならず植物にとっても貴重です。当社は、製造した貴重な清水を再利用することを考え、生活排水を浄化処理し、島内植栽へ灌水することで、不毛だった島の緑化に積極的に取り組んできました。砂漠だった島に、今では大きく育った木々が風にゆれ、労働環境・労働衛生の改善に一役買っています。
また島内植栽のみならず、海水でも育つマングローブの植林を行って島周辺の緑化にも積極的に取り組んできました。今では4mの高さまで成長したものもあり、従業員の憩いの場となっています。また、多くの渡り鳥が飛来し羽を休めるアラビア湾のオアシスともなっています。